「バレル研磨法」とはバレル(容器)の中にワーク(被研磨部品)、メディア(研磨石・研磨材等)、コンパウンド(研磨媒剤)、水等を混入し、バレルに一定の回転・振動、あるいは高速旋回による遠心力等を加えて、被研磨部品である各種金属部品の、機械加工後のバリ除去、熱処理後のスケール除去、メッキあるいは塗装前の部品の表面仕上げ、光沢仕上げ等を行う研磨・研削法の一種で、従来のヤスリ作業・グラインダー研磨・ベルト研磨・バフ研磨法に変わり近年発達した方法です。
「バレル研磨法」が従来の方法に比べて格段に優れているのは以下のような事です。
- 一度に大量のものが研磨できる。
- 仕上がりが均一である。
- 作業員一人当たりの生産量が大きい。
回転バレル研磨法
回転バレル研磨法は従来のガラ研磨を改良・発達させたもので、バレル研磨法の基本です。
後述する振動バレル研磨法や遠心バレル研磨法に比べて作業時間は長くかかりますが、作業にムラが無く最も安定した且つ精密な研磨が行えます。回転バレル研磨法はバレルの回転によってバレル内にできる滑り層において、ワークとメディアが相互摩擦する事によって研磨が行われます。
最も一般的な方法で、機械の構造は簡単で取扱いが容易であり、且つ価格も廉価である。
振動バレル研磨法
振動バレル研磨法は振動によってバレル内のワークとメディアが流動運転を行いながら、絶え間ない相互摩擦される事によって研磨が行われる方法です。
振動バレル研磨法は回転バレル研磨法におけるデッドスペースを完全に取り除いたことにより、 研磨効率が一段と向上しており、その能力は通常、回転バレル研磨法の3~5倍といわれています。
遠心バレル研磨法
回転バレル・振動バレル研磨法より飛躍的に能力アップした最も新しいバレル研磨法で、複数個のバレルが公転・自転を組み合わせた高速回転によって遊星旋回を行い、これがバレル内のメディアとワークに、遠心力による高圧力と高速流動を与えて、これまでの研磨法とは比較にならない強力な研磨作用を生じ、短時間で重切削から精密な仕上げ研磨まで行う事ができる研磨法です。
遠心バレル研磨法は、大型の機械では自動車部品・ベアリング・チェーン・ミシン部品等
主として鉄鋼部品の重切削で且つ大量生産の分野に、小型の機械ではカメラ・時計・電子部品等超小型精密部品業界にと、非常に広範囲にわたって使用されています。
また金属製のメディアを使用する事により、従来のバレル研磨法では不可能とされていた鏡面研磨・ミクロン単位の超仕上げを行う事ができます。
多室槽遠心バレル研磨法
通常の遠心バレル研磨法でワーク同士の当たりによる打痕等が発生しやすい場合、槽内部を仕切りして室を作り、1室にワーク1個を 投入して打痕の発生を防ぐ研磨法です
ゴルフクラブのヘッド・ドアのノブ・装飾品等、従来バレル研磨では不向きとされていた比較的大きな部品や柔らかい部品等に適した研磨法です。